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とり

いつのまにかエキブロがリニューアルされてますね。
まあいいや。
最近は、挨拶書くのも面倒臭い。のぶしです。



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分け入っても分け入っても、木と、草と、岩。
どこかで水の流れる音がするのだけれど、それはもはや幻聴なのかもしれないと思った。



「とりがさ、いるらしいよ」

獣道に張り巡った蔓をナイフで削りながら、彼は言った。

「当たり前じゃない、森の中なんだから」

見上げても空は見えず、小さな木の葉がいくつもいくつも重なって分厚い天井を形成し
それでもそこを、冷たい風が通り抜けてくるのだと思うとその皮肉さが悲しかった。
ここが夜の街並みだったなら、彼に上着を貸して貰うのに。
深刻な場面になればなるほど私は、彼の脳天気な性格に苛立って甘えることが、できない。
そんな自分が嫌いな筈なのになぜだろう、私はそれを治そうとしない。


「伝説のさ、不死鳥みたいなやつ」

「その血を飲めば、死ななくなるとでも言うの?」

「それは知らないけどさ、そんな感じ。いないかなぁ」

「いるわけないじゃない」

「とり、いないかなぁ」

私たちが遭難していることなんてどうでもいいかのように彼は周りを見渡しながら進んだ
私は鳥を見つけるよりも、街を見つけたい。

少しずつ、水の音が大きくなってきて、近くには確かに川があることを知った。
自然と彼も私も早足になって木々の闇が開け、
夕暮れに光る水の流れを見たとき、胸がいっぱいになって、涙が出た。
川を下れば、しぜんとどこかへ出られるはずだ。





「とり、見たかったなぁ」

焚き火の炎に揺れて見える彼は、そう呟いてすぐに寝息を立てた。
彼の手足が傷だらけで切ない。
道を切り開くのに、こんなにも傷ついていたことを私は気付いてあげられなかったのだ。
私は自分の愚かさを呪った。
彼だって、恐かったのだ。脳天気なのは、恐怖から私を守る為だったのだ。
醜い私の心とは裏腹に、夜空には星が輝いている。
それがぼやけて見えるのは、私が泣いているからなのだと気付く。

そして私は彼の手を握りしめながら、ぱちぱちと音を立てる薪の向こうに、その“とり”を見た。
“とり”は川辺で水をついばみ、大きく羽を伸ばすと七色に輝いて見えた。
赤い顔、黄色い嘴、青い目、白い身体、桃色の尾。
この世のものとは思えない美しさに私は目を奪われて
“とり”が飛び立って行くまでの間、微動だにできないでいた。
私は彼が“とり”を追いかけて、遠くに行ってしまいそうだと思い、
傷だらけの彼の手をもう一度握りしめ、
薪を新たにくべてから、好きよと言って静かに目を閉じた。







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カラーテイルさんの所謂「色尾」なんですが、
勝手に鳥だと思っていました。
そして今回も鰹さんに先を越されてしまいましたね。
ちぃっ!
……ちゅうか恋文になってないし……
でもまあいいや。
by gennons | 2005-02-04 13:40 | 妄想
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