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おもわせぶり

前回の記事は恋文企画参戦のものなんですが、
あれ実は、反アイスデイ同盟活動でした。地味に。
どこが?ってそりゃあいくつか仕掛けております。
本人にしか分からない程度のものだと思います。
なので気にしないでください。
あと、この記事も気にしないでください。
ちなみにこれも反アイスデイを気取っています。
もはや僕にしか分からないくらい地味な活動ですが、これで満足なのです。
うふふ


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夜半、ノックの音がするのでドアを開けると、びしょ濡れの女の子が立っていた。
「入ってもいいですか?」
そう言うと女の子はびしょ濡れのまま、玄関で僕の袖を掴んだ。
僕は親類以外の女の子に、ここまで接近されたことがなくて、
どぎまぎしながらどうぞと言ってしまった。
僕は部屋のストーブに電源を入れて毛布を下に敷き、女の子にそこに座るよう促した。
女の子は何を話すでもなくぼそぼそとお礼らしきことを呟きながら毛布の上に座り、
ストーブの、赤く光るランプを呆然と見つめている。
外は雨なのだろうかと思って窓の外を見たのだけれど、
夜空には、綺麗な満月が輝くばかりで雲一つ見当たらない。
何故か落ち着いている女の子とは裏腹に、
僕は気が落ち着かなくて部屋の中をうろうろしながらチラチラと、
女の子の横顔を盗み見ていた。
細く、それでいて柔らかそうな顎と、ぽってりとした下唇。
濡れた髪と身体が色っぽくて、僕は勃起することさえ忘れてただ、ドキドキしているだけだった。
「着替え……ますか?」
僕の欲望と女の子の需要が見事にマッチした言葉が思い浮かんで、
それを女の子に伝えたのだけど、
「服が、濡れてしまうから」
とだけ言ってまたストーブを見つめた。
部屋にこんな可愛い女の子がいることが、夢のようだ。
もしかしたらこれは夢を見ているのかもしれない。
夢ならば、覚めて欲しいと思う。現実ならば、この時間がずっと続けばいいと思う。
思わせぶりなものが、僕は大嫌いだ。
でもこれは、余りにも現実離れしすぎているではないか。
それならば、早く覚めてくれればいいのに。
僕は少しふてくされながら、ベッドで横になった。
横目で彼女を見ても、先と同じ恰好で、ストーブを見つめている。
下に敷いた毛布が水浸しになっていて、それでも彼女の濡れは、乾くことがなかった。
横になりながら僕は
「外、すごい雨ですね」
と言ってみた。
女の子は
「そうですね」
とだけ言う。

このまま目を瞑れば、僕は眠るだろう。
それくらい今、眠いのだ。
びしょ濡れの女の子を見つめながら、
それでもずっと目を開けている自分が可笑しくて僕は布団に潜り、
声を殺してククククと笑った。
by gennons | 2005-02-06 17:22 | 妄想
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