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最後のくのいち

千と千尋の神隠し見ました。テンションも上がり、
時代錯誤な感覚でテーマソングを歌いながら帰り道を歩いていますと
すれ違う三人に一人は訝しげな顔で振り返ります
同時に「タイタニック」も見たのですが、ぐちゃぐちゃに泣きました。
と、社内の人に話しても、誰一人、共感してくれません。何故?

恋文企画が徐々に盛り上がりの兆しを見せてきていますね
これを機にトラバデビューして欲しい人物がいまして……
うそ日記のtaketoshinkai様、やるならいまですよー。
なんちて。


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泥酔に泥酔を重ね暗く、細い路地で僕がゲロゲロと食ったモノをリバースしていると
突然背後から口を塞がれた

「しっ、静かに」

誰とも分からない女が耳元で囁く
手で塞がれたくらいで僕のリバースは途中で止まるわけもなく
女の指の隙間からぴゅうぴゅうと黄色い胃液が吹き出していた
女が口を塞ぐせいで口の周りにもリバースしたものが跳ね返ってくる
顔中がベトベトのぎとぎとになって気分が悪い
そして、何が起こっているのか見当も付かない

ひとしきり吐くモノもなくなり、僕はその場にしゃがみ込んだ
そして後を振り返るとそこには、

真っ赤な服を着たいかにも怪しい女が目を細めていた

「くのいち」だ。
直感的にぼくはそう思ったが、いささか年を取りすぎているのではないだろうか
見たところ、50代後半といったところか
しかし全身に纏っている朱色の着物、アンダーウェアとも言うべき鎖帷子
そして背中から覗く日本刀、ひらひらとなびく赤いマフラー。
新宿の繁華街ど真ん中でえらい人に出会ってしまった。
暗い路地の中、くのいちの赤い着物は鮮やかに見えて、
これじゃあ隠れるのに不便だろうなと思いながらも僕は何も言えず
ただ、くのいちとにらみ合うばかりだ。

「騒ぐんじゃないよ。何もしやしないから」

そう言うとくのいちは自分の手を嗅いで少し、渋い顔をした

「あんた今日、焼き肉食べたでしょ?」

僕のゲロでずるずるの手を見ながらくのいちが言う

「え、ええ……」

「忍者ともなるといろんなことがわかるの。忍者ともなるといろんなことがわかるのよ」

「え?何で二回言ったんですか?」

僕が困惑しているとくのいちは皺でたるんだ目元をキッと僕に向け

「悪いが少し眠ってもらうわ」

と言いながら唐突に僕の首筋にチョップを入れた

「痛っ!何するんですか!」

「騒ぐなと言ったでしょ。ぶっさいくな顔しやがって」

僕が一撃で倒れなかったことが不満なのか、明らかに不機嫌になるくのいち
やることなすこと唐突で脈絡がない
見た目はおばさんなのに、どうしようもなく子供な人だなと思った
気分も悪いことだし、もう帰りたい。終電は何時だったろうか

「じゃ、僕はそろそろ……」

「何?このままはいそうですかって言うと思ってんの?」

「いやでも終電もうすぐだし……」

「何か質問とかないの?ほれ。目の前にこんなおかしな人がいるのに。新宿のど真ん中よここ。
あんたは何にも聞かずに帰るの?忍者よ忍者。しかもくのいち。どうかしてるんじゃないの?」

「いやでもあんまりそういうの興味ないし……」

「うそん!?あんたくらいの年なら興味あるでしょ。くのいちよ。そーゆービデオとか持ってないの?」

「持ってませんよくのいちのビデオなんて。もう僕帰りますから」

「ちょちょちょっと待って!ほらこれ、ジャーン!巻物。どう?」

「どうって……何がですか?」

「何がじゃないでしょ。巻物よ。秘密の。興味無い訳ないでしょ」

「勝手に決めつけないでくださいよ」

「ちょっとだけ見せてあげるから」

「って言うかそれ、ヨドバシカメラの店内地図じゃないですか」

「そう。これを明日、井上さんに持っていってあげないとだめだぞ。と。」

「知りませんよそんなこと」

「あの人東京初めてって言ってたから」

「そんな巻物役に立たないでしょう」

「じゃあ何か忍法見せれば良いのね?」

「ああ、もうなんでもいいです」

「じゃあね、忍法〜……」

「ちょ、ちょっと、おっぱい出てますよ。全然みたくありませんから」

「あら、お色気の術、まだ終わってないわよ」

「そういう趣味の人にかけてください」

「じゃあね、逃げるから、私を追いかけて」

「嫌ですよ面倒臭い」

「うふふ。こっちよ。早く来ないとあなたの財布に入ってるコンドームに穴あけちゃうから」

「っていつの間に人の財布を!まてこら!」

「うふふふふ。忍法まきびし!」

「うお!踏みそうにな……ってこれアポロじゃないですか」

「そうよ。こんな可愛い形のチョコ、あなたに踏めるかしら?」

「全然足止めになりませんって」

「これならどう?忍法ちくわ早食い!ぱくぱくぱくぱくっ!」

「それ獅子丸のわざでしょ?しかもそんなに早くないし」

「仕方ないじゃない!中にチーズが入っているんだから」

「知りませんよそんなこと」

「一体あなたはどうしたいわけ?」

「こっちのセリフですよそれは」

「ふふふ。気が付いていないみたいね。私はあなたに一つの忍術をかけていたのよ」

「嘘でしょ?どうせ」

「あら、じゃあなぜ的確な突っ込みができるのかしら」

「そういや酔いも醒めてきたな」

「これぞ、忍法酔い覚ましの術!任務は終わったわ。次なるターゲットを探しに行くから
あなたは気を付けてお帰りなさい。それじゃ!」

と言い残すとくのいちはJR新宿駅に向かってテテテと走って行った
人混みをかき分け、迷惑そうな顔をされながらもくのいちは走る。
結構優しいおばさんなのかもしれない。
ひらひらとなびく赤いマフラーに向かって僕は、
がんばれよ。と心の中で呟いた
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by gennons | 2004-12-22 16:33 | 妄想

残り香

普段全く映画を見なかった僕なのですが、最近になって目覚めました。
「よーし!映画マニアになってやる」と意気込んで
アシスタントのきょんきょんにオススメ映画を聞いたのですがイマイチピンと来ない
まあ有名だしとりあえず「千と千尋」を見る。と伝えたのですが
「そっからですか。道のりは長いですよもの凄く」とか言われました。うっさい!

さて、恋文企画がまた始まってしまいましたね。
様々な因果関係によって書かなくてはならない気がしています
なので書きました。
非常にわかりにくい設定ですが我慢してください
苦情は例によって毛布さんまで。
苦情係って毛布さんでいいんですよね?なんちて。
あ、あとルーニーキャッツさん、頑張ってください(少し罪悪感)



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その夜は、とりわけ人が少なくて僕はまた降りる駅を間違えたのかと空を見上げたが
確かにここは、昨日と同じ場所だった。
スペクタクル? サプライズ?
何だったかは思い出せないが、確かそんな名前のビルだった

僕はそのビルの前を少しうろついて、頭の中で彼をシミュレーションしている
が、どこで立ち止まりまた、歩き出したのかを。
考えたって答えは見えてこない。
昨日の彼と、同じ行動なんてできやしないのだから。
それでも僕はそのビルを右に左に歩き回り、彼が何時、どの辺りで誰と接触したかを考えて
残像を追っている
それだけで僕はもう、彼になった気でいた

ここで立ち止まって野武士さんと話しicedayさんと接触する
一つ二つ挨拶をしてそして、また、誰かを待っている。

大変だなと思った。
顔見知りの相手と待ち合わせるならともかく、
会ったことのない人と待ち合わせていた彼の気苦労に僕は
今頃気付き、それを昨日に思えなかったことを悔い
そして一方で喜んだ。
同じ苦労を解り合えた気になったからだ。
彼は昨日この場所で、ずっと待っていたのだろうか。
それとも店に入り、席を用意して連絡がある度に迎えに出ていたのだろうか
店に向かう足は右が先か、左足から踏みしめたのか
歩道は左側を歩いたのかいや、彼なら車道の側を歩くに違いない
なんて考えているうちに、店まで来てしまった。

「居酒屋 上東」

少し古ぼけた民家を思わせるその店構えに僕はほっとして
焦る気持ちを抑えることができた
一呼吸おいてから店の引き戸を開ける

昨日とは違う胸の高鳴り
昨日とは違う店の雰囲気
昨日飲んでいた彼は今日、ここにいない。
彼の残り香が、夜空に紛れてしまう前に

ここにいた気配が消えてしまわないうちに




「いらっしゃい。お一人様で?」

「はい。一人なのですが、二階、いいですか?」

「え、ええ。かまいませんが、他のお客さんがきちゃったら動いてもらうかもしれませんよ」

「ええ、かまいません。長居はしませんから」

僕は静かな歩調でとんとんと二階へ上がり
彼が昨日、座っていたであろう席の右隣に腰掛けた
記憶が定かではないのだ

二階の席には僕だけしか客がいなくて
下から威勢の良い店員の返事と、何だか聞き取ることのできない
がらがらした話し声が響いてくる
僕は少しだけ声を張り上げて、すみませーんと誰かを呼んだ
店員さんは、二階に一人佇む不可思議な客に面倒臭そうな顔一つせず上がって来てくれて

「あいっ、何でしょう!」

と言ってくれた。
雰囲気だけじゃなくて、食べ物だけじゃなくて
そんな店を選んでいた彼に少し惚れ直し、僕はビールと、大根の何とかサラダを頼んだ
店員さんは威勢の良い返事をして、
小さな紙にこちょこちょと何かを書き込むとまた、下に降りていく
その人が見えなくなってから僕は煙草に火を点けて

「あと、さ、氷ね」

と彼の口調を真似ながら小さく呟いた
それが自分でも可笑しくてくすくすと笑い、誰かに同意を求めたくて左を見たが
煙草の煙が静かに立ち上るだけである
僕は彼が座っていたであろう左の椅子に手を置いて、物から何かを読みとる超能力者のように
強く目を閉じた
しかし頭に浮かんでくるものは、彼といた微かな記憶と
両親の顔と、明日の仕事のことだけだ
それでも、置いたてのひらにぐっと力を込めると
彼の体温が伝わってきそうで、
ついさっきまで彼がここに座っていたような気になって
トイレに行っているだけで、
すぐにまた彼が戻ってくるような気がして僕は−−

「あいよ。ビール。と、サラダね」

はっとして目を開けた僕をお店のおじさんは笑いながら見ていて少し恥ずかしく、
あ、どうもとかそんな感じの言葉を発すると、ちびちびとビールを飲み始めた
頼んだ大根サラダは僕一人で食べきれないくらい大きなものだったが
半分くらいは何とか平らげた
残った半分のサラダ。
大きな皿がビールとおしぼりと、灰皿だけの寂しいテーブルに不格好で
これ、こっちに置いとこう。なんて独り言を呟きながら
隣のテーブルに移したのだけれど、それは昨日彼がやっていたことと同じだと気が付いて
妙に嬉しく、
誰からも見えないくらい小さなガッツポーズをしてまた少し、
グラスに口を付けた



少し酔っぱらってきたなあ。

誰もいない居酒屋の二階で僕は、テーブルに突っ伏して
灰皿から昇る煙を呆然と眺めていた
偶然とか、たまたまとか奇跡とか、
そういう何かが働いてここに彼が来ないかなあなんてどうしようもない独り言。

僕はこんなにも彼を思い、待っているのに。
ああ、でも来るわけがないか。
そんなに世の中うまくいかないか。

そう、愚かな行為であることは、ここに来る前から解っていた
十分すぎるほどに解っているのだ
けれど、彼の香りがまだどこかに残っているような気がして
僕はまたもう一杯、ビールの注文をしてから
おしぼりで汚い涙を拭いた




♂♀♂♀♂ 恋文祭り、届けこの想い ♀♂♀♂♀
お題の相手ブログに向ける、恋するフィクション恋文コンテスト。
そうです、この恋文は、フィクションです!

揺さぶれ、心。 あしらえ、魂。
笑いを取るも良し。 感動を呼ぶも良し。

選考は、お題の相手に決定権を委ねましょう!
優勝者は、次回のブログ指名ができます!!

開催期間: <次回開催地の主が決定>
審査員: <お題ブログの製作担当者>
審査方法: お題ブログの製作担当者からの、返信トラバにて決着!

♀ あくまでも、フィクション恋文という姿勢を崩さないよう、
♂ 参加者の皆さんは気持ちをしっかりと持って、本気にならないように。
♀ エスカレートして、ストーキングに走らないよう、超気をつけて下さい。暴走は厳禁です!!

※ 誰でも参加出来るようにこのテンプレを記事の最後にコピペして下さい。

主催: 笑ッカー本部 恋文企画同盟
♀♂♀♂♀ ♂♀♂♀♂ ♀♂♀♂♀ ♂♀♂♀♂
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by gennons | 2004-12-20 10:24 | 妄想

ヘドロ

いろいろな気力がないです。
巡回もそこそこに仕事もそこそこに。
僕今、何やってんねやろ(独り言)
クリスマスですか?ああ、あれね。
僕は毎年恒例、イルミネバリバリ巨大ツリーの前で
世界各国の美女たちに囲まれて
シャンパンを開ける写真を見ながらしこしこと仕事をします。
愛しいあの子(マウス)の手を握りっぱなしでそんな幸せなこと他にないよな。
なんて呟いていたらあれ?どしてかな……
涙が勝手に……

ちょっと長いです
長いかな?わからん。
そして狂っています。読む方によってはもの凄い嫌な気分になるでしょう。
なのであまりオススメはしません。
ようするに、うんこの話です



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エイリアンが出てきそうなくらい、腹が痛かった。
でもいまおれが出さなければならないのは、エイリアンではなく、うんこだ。
こういうときに限ってトイレはその姿を見せない。
冷たい脂汗をややうしろになびかせながら、早歩きでトイレを探し回る。
ヤバイ。恐らくもう、残された選択は二つしかない。
うんこをするか、死ぬかだ。
Dead or discharge である。
すると前方に公園が見えてきた。
海よりも深い安堵感。これで死なずに済む。
おれはきゅうきゅうに顔を引きつらせ、
泣いているとも笑っているともわからないような表情で走っていった。

公園のトイレは古く、どうやら男女共同のようである。
しかしそんなことに構っている場合ではない。
もうアイツはそこまで出てきているのだ。
一番手前のトイレのドアを勢いよく開けベルトをはずす。
しかしズボンを下ろすことができない。
おれは固まっていた。

そこには、アイドルの「ゆうこりん」が座っていたからだ。

嘘だ。アイドルのゆうこりんがこんな所で便座に腰掛けている筈はない。
ゆうこりんが「うんこ」をする訳がないからだ。
これはきっと何かの間違いだ。
人違いだ。
夢だ。虚構だ。ドッキリだ。

しかし
目の前に座っている女の子は、あのうるうるした確かな瞳で僕を見上げている。
この瞳は本物?いや、そんな筈はない。そんな筈は……

「あの……ちがうの……これはゆうこが……」

うっ、









うぉぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!

それ以上言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

ゆうこって言うなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!


おれは叩きつけるようにドアを閉めるとそこから一目散に走り出した
己のうんこなんてもう、異次元へと転送されていた。
そんなこと、思い出す余裕すらなかったのだ。
頭の中では同じ言葉が繰り返される。


人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃない人違いだゆうこりんじゃないアイドルは……

あの女の子をゆうこりんであると認めてしまったら、
おれの人生は崩壊しそうだった。
夢を全否定してしまいそうだった。
足を止め、道に座り込んだ。息が上がったまま戻らない。
はあはあと肩をいからせながら手を胸にあてて、冷静になろうと思った
そうして落ち着いたら、少し便意が戻って来はじめた。
でもそんなことはもう、どうでもいい。
アイツは確かに「ゆうこ」と言った。
ゆうこりんの顔で。声で。髪型で。体で!
おれがここでうんこを漏らすことなんてちっぽけなことだ。
あのゆうこりんが汚い公衆共同便所で
うんこをしていたのだから。

おれはうずくまり、頭を抱えたまま
その場でぶりぶりとうんこした。
尻があたたかい。
そして強烈に臭い。下痢が混じっている匂いだ
道を歩く人々が顔をしかめる。

「やだっ、あの人うんこ臭くない?」

OL風の女が足早に通り過ぎた
あんな女におれの気持ちが分かってたまるか。
うんこ臭いことがなんだ。
おれは人間だ。アイドルじゃないんだ。
うんこをしたからって何が悪い!

暫くうつむいたまま動けなかった。
しゃがんだ俺の足元には、小さな水たまりができている。
糞尿と、涙の水たまりだ
せめてティッシュを持っていればな……
計画性のない己の脱糞を自嘲して悲しくなった

と、目の前に誰かの靴先が見えた。
こんなにもうんこ臭いおれに近づくヤツがいるなんて……
おれはよだれと涙とうんこでウジャウジャの顔を上げた

すると先の偽ゆうこりんが、微笑みながらティッシュを差し出している
おれは固まった。
足元に流れ出るウンコはこんなにも柔らかなのに
おれの表情は岩のように硬くなっていた

「そんなに泣いちゃ、ゆうこ嫌いになっちゃうZO!」

これは現実ではないと悟った
ゆうこりんが、こんな糞尿まみれの世間体の人格の尊厳のミミズ以下の埃のかけらもないおれに
優しくすることなんて考えられなかった
もし本物のゆうこりんだったとしたら、
こんなおれなんか相手にするはずがない
ツンとした表情で、先のことなど何もなかったようにおれを蔑むに違いない
そもそもウンコなんてしない
そう考えるとだんだん腹が立ってきた
ゆうこりんの皮を被ったこの淫売をどうしてくれようか

おれは声にもならない声でげへげへと笑い泣きながら差し出されたティッシュを払いのけ
全体重を乗せて思い切り淫売女の顔面を拳で殴り飛ばした
女の華奢な身体は中空をゆっくりと舞い、
歩道の反対側のガードレールまで吹き飛んでそれに引っかかり、
後頭部から車道のアスファルトに墜落してぐしゃっという音を立てる
女の頭から激しく鮮血が飛び散り
一回転して道路に投げ出された身体は
大型のダンプカーに踏みつぶされてぐぎゃぉっと意味不明な音と共に大きく痙攣をおこした

今殴った衝撃でおれの尻からはまた大量の下痢が流れ出し
ズボンの裾からドロドロと溢れ出てくる
おれは何故か今まで味わったことのない達成感に震え、
己の頭髪を掌一杯に掴むとそれをむしり取り
それがあまりにも痛くてぎゃふんと叫んだ
ぎゃふんなんて言葉が本当に出るとは思っていなかったので
おれは少し感心しまたげふげふと笑い泣いた

おれはぐちゃぐちゃになった「元」ゆうこりんに近づき
服やなんかにこびりついた肉塊を払いのけてスカートをめくった
ダンプカーのタイヤは、幸いゆうこりんの腹を通っていったようで
スカートの中はほぼ無傷だ
神々しくも純白のパンティが顔を覗かせる
興奮に興奮を重ねたおれはこれも何かの記念になるなと、
パンティをゆっくり下げ降ろした
脚が擦り傷だらけで、純白に血が付くことを恐れたおれは
プラモを作るような慎重さでゆっくりとパンティを剥がす
パンティに差し掛かった指先に不自然なものが触れておれは首を傾げ
取り除いたパンティの裏地に何かがあることを知った
期待に胸を膨らませ、綺麗に脱がせたパンティの裏地を見ると、
それはタグだった。
洗濯の際のドライとか何とか様々な指示と、メーカー名なんかが記されていて
何ともなしに脱力した気持ちのままおれは、そのクレジットを目で追っていた
そして「ソレ」を見てしまったのである


“made in Korin”


ぎなごふぅーーーーーーーーーーんぐぁぃっ!!!!!!!!!!!

言葉にならない言葉でおれは発狂し、また二回ほど髪の毛をむしったが
今回は痛みを伴わなかった
“Korin”とは、紛れもなくゆうこりんの出身星である
この小さな日本に、Korin出身の者がいるとは思えないし
そこで作られた商品が地球に流通しているといった話など聞いたことがない
そうなるとさっきおれが殴った女は……

おれの頭は真っ白になり、着ているコートを脱ぎ捨てて走り出した
おれが走り出したのと同時に、パトカーのサイレンが鳴り騒ぎ出す
おれは着ているシャツをびりびりに破り捨てて上半身裸になると
追ってくるパトカーに向けて投げつけた
勘違いして欲しくなかったのだ
おれはKorinという文字に恐れを抱き、
胸の高鳴りをどうも発散することができないから走っている訳で、
パトカーが来たから逃げ出した訳ではないのである
そこのところを警官どもに間違われたくなかったので説明したかったが
全速力で走るおれの口からは、十分な説明なんて出てこない

「違う違う違う違う違う違う違う!ちがーーーーうーーーー!!!!」

違うというのが精一杯だった
おれの興奮は絶頂に達し、無我夢中で走っていた
パトカーは、スピーカーから何かを叫びながら悠々とおれを追い越し
中から警官がぞろぞろとあふれ出して
前から後からおれに迫ってくる
この脚を止められたくはない
おれの激しく波打つ感情は、
今おれが走ることでしか発散できないのだ

おれはガードレールを乗り越え、びゅんびゅんと車の通る道路に飛び出した
四車線ある道路の二車線目でおれは
赤いスカイラインに右脚のカカトを踏みつぶされ
指先から足が潰れる痛みを味わった
骨の砕ける音がぼりぼりと妙に遅く響き、
痛みを紛らす為におれはまた、頭髪をむしりとる
道路の向こう側は幸いなことにもヘドロだらけのどぶ川で、
片足を引きずりながらおれはそのどぶ川に転落するみたく飛び込み
空中で振り返って追ってくる警官に中指を立てたままヘドロの中に沈んだ
ちゃぽちゃぽと、おれの後を追ってくるように振りまかれた糞尿がヘドロに落ちてくる
さすがに警官達もここまでおれを追ってくることはなかった
ヘドロにゆっくりと流されながら
おれはもう、感覚の無くなった右脚をゆらゆらと動かして
今は亡きゆうこりんのスカートの中を思い出すと急に悲しくなり大声で泣いたのだが
それでも脱がしたパンティをいつまでも離さないでいた
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by gennons | 2004-12-15 12:02 | 妄想

月に消えた猫

恋文発表の記事のコメントで一休さんに返信のことを指摘されちゃいました
「そんなん書くの!!!???」
と正直びびりまくってそれでも何とか書きました
ilovecrisps様手紙になっていないのですがお許しを。
つか仕事しろよ。僕。

あ、この手紙の返信です。


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僕はコートの襟を立ててそれはまるで探偵のように
(実際の探偵がそんな恰好をしているとは思えないが)
電車に乗り込んだ
梅田行きの阪急電車に揺られながら僕は、
車内ががらがらなのにも関わらず、どこにも座る気持ちになれない
ドアサイドから流れる景色は形を一つに留めることなく
大きく横に伸びて、それはまるで生きている絵画のようだ
僕は張り裂けそうな胸をぎゅっと掌で掴み
窓へ暖かな吐息を吹きかける
窓硝子が曇り、そこに「人」という字を書いた
昔聞いたことのある話で、緊張を解すには「人」という字を飲み込めばいい
なんて言ったものだけれど
僕が書いた「人」はそのための「人」ではない
心に募る思いを抱え込むことができなくなって
震える指に乗せただけなのである

駅に降り立った僕は、鼻から大きく息を吸い込んで街の感触を確かめた
ああ、何も変わらない。
排気ガス、雑踏、淫靡に輝くネオン、糞尿の残り香、あの人のいた世界、未知への扉
そこは三年前と何ら変わることのない性的な街並みだった
質屋の並ぶ高架下を通り抜け、ストリップ劇場の角を曲がるとそこからが
「世界」の始まりのように思えた





三年前、僕は風の噂を小耳に挟み、都市伝説だと馬鹿にしながらも友人を連れ立ってこの駅に降りた
「痴女なんているわけがない」とか何とか言いながらも、僕らの股間は大きなテントを張っていた
確かに、僕らが探し回って見つけたものは、客引きのおっさんと
僕らには高すぎる女と、嘔吐物を舐める痩せこけた猫だけだった
友人はアルバイトがあるから帰ろうと言っていたけれど、僕はそんな気になれない
ここで帰ったら、もう二度とこの街に来る勇気が湧かないと思ったからだ
僕はその街を一人で散策し、自動販売機で珈琲を買って路上に座り込んでいた
目の前を通り過ぎて行く知らない人たち
僕はひとしきり通り過ぎて行く足並みを見つめて
そして疲れた
もう帰ろうかな。なんて弱音を心で吐いた時、
空から軽い、雪が降ってきた
そうか。今日はクリスマスなんだ
クリスマスの夜に現れる、童貞狩りの痴女人妻
へんてこな噂が、僕らには神がかって見えていた
現実にあり得る話じゃない。僕はなんて愚かなんだ
雪の温度は僕の頭を冷やし、
帰ろうとストリップ劇場を曲がったところで、貴方に出会ってしまったのである





たった三年だと人は笑うかもしれない
僕だって、たった三年で何ができたわけでもないからだ。
できたものは、一週間で別れた彼女による傷と
受験への挫折だけだった
でも僕は大きく変わっていると思う
あの時言えなかった言葉を、今日は言える気がしてただ、それだけで。

あの時と同じクリスマス。
雪こそ降っていないけれど、時間も、場所も、空気も同じ。

しかし、あの人は来なかった
僕が何時間待っても、その道を通る人影さえ見えない
ここに立っているのは僕と、あの日の痩せこけた猫だけだった

消えかけたネオンが月の光みたく朧で
そんな曖昧な光の中
ぼんやりと、消えてしまいそうな猫を見つめながら
僕はポケットの手紙を
くしゃくしゃに握りつぶして少しだけ泣いた
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by gennons | 2004-12-06 16:37 | 妄想

恋文企画 優勝者発表だぼよん

会社に家の鍵を忘れて漫画喫茶で眠る、家出少年のような足草です

さて、皆さまご存じの方も多いと思われますが、あの忌々しいイベント
恋文企画が締め切りを迎えてしまいました。
ちまさん、お疲れさまでした。この企画の進行こそ、何にも代え難いラブレターですよなんちて。
で、僕のモテ期も終了し、生きている楽しみをまた一つ失ったということで
精神状態があまりよくありません。
できるなら、次の開催地を鉛筆転がして決めたいところですがそうもいかず
ルーレットを作ってそれで決めたいと思います

しかしこうもまあ皆様濃い奴を書いてくださいましたね。
素晴らしい作品の数々、目を通すたびに感動の嵐が吹き荒れ
僕のハートは全作品にがっちりと捕らえられました
うん、素晴らしい。

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by gennons | 2004-12-06 13:07 | トラバ

色っぽい唇 前夜

久しぶりにベッドで眠れるなと、テンション高く帰宅した昨晩なのですが
今朝何故か座椅子に毛布という状態で目が覚めました
癪なので更新頻度を落とします
と無意味な八つ当たりで非難囂々の足草、
肌がかさかさで気味悪いと言われながらも頑張ります
手汗は酷いのに。

これこれの番外編です。
唇づいてます。




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愛しい彼の右太股に私の唇が少し触れたかと思うと
彼の右足はずるずると短くなってゆき
ぐるぐる回りながら一つの塊になってそれはまるで
ホットケーキのようだった

夢を見ている気分のまま、私はベッドから抜け出すと
グラスにスコッチを注いで喉に流し込んだ
頭がくらくらしてきて、口の中が苦い何かで覆われる
それを消し去ろうとまたスコッチを流しては
傍らに転がっているサラミを囓り
またスコッチを流した

私の視界は先の右足のようにぐるぐると回り
足元がふらついた
ベッドに視線を投げ落とすと
彼が静かな寝息を立てている
そして右足のあった場所には、まだ微かに湯気の昇るホットケーキ。

鎮座するホットケーキは蜂蜜とかバターとか
何も乗せなくても美味しそうに湯気を放ち
私の鼻孔を甘くとろとろにさせた

彼は眠たそうな目を半分開いて

「何してんの?」

と鼻の詰まった声で言うと、再びそのまま眠ってしまった
私は彼の右足がホットケーキになってしまったことを
彼に伝えようと思ったのだけれど
美味しそうな香りを放つそのホットケーキに心を奪われて
むしゃむしゃと綺麗に食べ尽くしてしまった

こんなに美味しいホットケーキを、今まで食べたことがなかった
ふんわりとした生地は香ばしくて甘い
柔らかな口当たりが私の舌の上を這うように被さってくる
美味しいホットケーキ。そんなに生やさしいものではない
もう、私はそのホットケーキが無ければ、生きてゆけない
このままお腹が破裂するまで、このホットケーキを口に放り込み続けたい

一枚食べただけでは、我慢できないと思った

私は駄目だと思いながらも、彼の左脚に口づけをした
するとやはり、その左脚は短くなり、ぐるぐると回って
先のホットケーキになった
そしてまた、彼の左脚であるホットケーキを綺麗に食べ尽くしてしまったのだ

彼の身体から、両脚が無くなって人形のようだった
このままでは彼が可哀想
バランスの悪くなった彼の身体に、
傲慢な理由を付けた私は、何の躊躇いもなく彼を順番にホットケーキに変えていった
首から下を全て平らげて、彼の頭だけが残る
私が彼の唇にキスをしようと顔を近づけると、
少し寂しい気持ちになり、初めて戸惑う私
すると彼はうっすらと目を開けて私を見つめ

「お前、唇が色っぽいなぁ」

と呟き、私にキスをしてホットケーキになってしまった

彼を無くした私は、途方に暮れた
もう、食べるホットケーキも、口づけをする彼もいない

もしかしてと思い、ベッドやテーブルやロックグラスや雑誌にキスをしたけれど
何も変化はなかった
もう一度食べたくて、色んな所にキスをしたが
ホットケーキは現れない
悲しくなって私は、手の先に付いているホットケーキのカスをぺろりと舐めた

ぐにゅぐにゅとした感触が心地よい。どうしたことかと思っていると
私の手は、いつの間にかホットケーキになっていた
嬉しくなった私は、彼にしたように、己の体中にキスをして
甘い幻想へと、文字通り我が身を犠牲にして浸っていった

薄暗い部屋の中で、私は首だけになり、無造作に床の上を転がっていた
それでもまだ、私はホットケーキが食べたくて
自分の鼻に舌を精一杯伸ばしたが
私の短い舌は、鼻に触れることができないでいた
悲しくなってふと横を見ると姿見が私を映す
見るも無惨な自分の姿が可笑しくて私は声を出して笑った
こめかみから耳へと伝う涙が冷たくて
私は大声で彼の名を呼んだ




私は頭に勢いを付けて、床の上を転がる
鼻が下に来るとき、潰れそうで痛く、
生まれて初めて鼻の高さを呪った
転がった私の首は、姿見に遮られて動きを止めた
目の前の鏡に写る私の顔はすっぴんで
人に見せられるモノじゃない
彼はよくこんな顔を間近で見ていたものだなと少し感心して、
ゆっくりと、唇を鏡に近づけた




鏡がぐにゃりと曲がる
いや、これは私の視界が回っているのだなと思い、気を静めた
スコッチを何杯も飲んだそのときのように
世界はぐるぐると回っている
ぐるぐるぐるぐるまわる
ぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐるぐる

意識が曖昧になってきて、眠気が心地よい
まばたきをしようとしても、もう動かない
耳を澄ましても、もう何も聞こえない
鼻をひくひくさると、一瞬微かにホットケーキの匂いがして
すぐにそれもなくなった

遠のく意識の中で、唇だけがぱくぱくと動いているのがわかった

最後に残ったものが彼に褒められた唇だったので
私は安心してそのまま眠るように意識を失った





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果てしなく唐突ですが、エバチュー祭りを遠くから応援しています
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by gennons | 2004-12-02 12:44 | 妄想