<   2005年 01月 ( 5 )   > この月の画像一覧

煮える鍋

先日の記事の反響が凄くて少々びびっています。
「たまに真面目な記事を書くのが、モテる秘訣や」
って中島くんに言われたのでやってみたのですが、効果覿面でした。
タイミングを見計らってまたやります。

そしてこれを機に少し更新を休むかも。。。
まあいまでも十分亀更新なんですが。



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最初、ゴハンとルーの間にスプーンを入れて
ちょうど真ん中で境界線ができるようにしてからそれを口に運ぶ。
鼻の辺りまでくると、その独特な匂いは僕の鼻をねっとりと刺激して
それがあまりにも臭く、逃げるように少しうつむいて湯気から鼻を遠ざけるのだが、
ガソリンの匂いをついつい嗅いでしまうような、
一日履いた靴下を脱いで嗅ぐような、
何とも言えないその中毒性に惹きつけられて僕はもう一度スプーンに鼻を近づけた。
中毒と言ったけれどもこの店のカレーを食べるのは初めてだ。
しかしそれは以前にも嗅いだことのあるような、
これから先、別の機会に嗅ぐような、そういう感じ、デジャヴ?だっけ?

スプーンの上でズルリと光るカレー。

小太りの店主は薄汚れたエプロンを身に纏い、口髭をねちねちと舐めながら僕を見ている
他に客でもいたのなら、これほど店主に見られることもなかっただろうに。
鼻をつまむのは失礼だと思い、僕は妖気さえ放っていそうなこの黒いものを口にねじ込んだ
ねっとりとしていて生魚をそのまま囓ったような、
それでいてむせかえるような甘さと
酸っぱい刺激臭は喉から鼻へ。鼻から眼へそして、脳に蔓延する。
カレーと言うには余りにもぬめりが多く、そしてぬるい。
辛さなんて一ミリも感じることはできず、これをカレーと呼ぶのなら
トイレットペーパーをスカーフと呼んでも正しいだろうと思った。
舌の上をナメクジが這うようにカレールーは口腔を濡らしてまわり、
それではない汗がじわりと額から流れた。
一口目を喉に流し込んだ直後、首の後ろを冷たい何かが通り抜ける。
全身が震え、鳥肌が立つような快感を憶えたかと思うと顔が熱くなり
二口、三口とカレーをスプーンに乗せては口へと運ぶ作業を繰り返してしまう。
ものの五分も経たぬうちにソレは跡形もなく皿の上から姿を消して
水を一度も飲まなかったことに気が付いた。

カレーを食べただけなのに何だろう。
口に残る異様な臭みと、溜息が出るような疲労感。
いつもなら、さっさと会計を済まして店から出てもおかしくはないのに、
僕は座席でぐったりと背もたれに体重をかけ呆然としていた。

カランカラン

「こんにちは。また来てあげたわよ」

変な態度の女性が店に入ってきた。
長身で目が細く、髪を頭のてっぺんでまとめたその女性からは
態度とは裏腹に控えめで柔らかな雰囲気が漂っていた。
店主とは顔見知りのようで、客席に座るのかと思いきや、
女性はカウンターをくぐり、中で髪の毛をほどくと
店の奥へと姿を消してしまった。
僕は煙草に火を点けてもう少し休憩してから店を出ようと思い
お冷やのお代わりを頼もうとして店主を呼んだのだけれど
カウンターにいた店主の姿はなく、
声を上げて呼ぶのも面倒だったのでそのまま煙を吹かしていたのだった。

店員だろうか。それとも奥さんなのか。
いずれにせよ、僕はその女性がここで働いているのなら、
少し頻繁に通ってもいいなと思った。
あの女性がここでカレーを運んでくれるなら
もう少し遅くに来ればよかったな。なんて思いながら氷を口に含み
ころころと舌の上で転がしてカウンターの方を見たのだけど
店主も女性もまだ出てきそうにはなかった。
仕方なく僕はまた一本、煙草を取り出して火を点ける。
ゆっくりと紫煙が天井に昇り
緩やかな白熱灯に照らされて静かな模様を描いていた。
煙の行方をただ呆然と眺めていると、奥から誰かの声が微かに聞こえてくる。
聞き耳を立てるとそれは、深く、重い電化製品の音のようで
出てしまう声を押し殺しているような暗い声だった。
呻き声だろうか。

「グゥゥゥン……、グゥゥゥゥゥゥン……」

単調に、長く響くその声が耳から離れなくて、
僕は気が遠くなり、煙草の灰がテーブルに落ちたのにも気が付かないでいた。
はっとして煙草の灰を片づけつつ、そろそろ店を出ようと店主を呼んだのだけれど
奥からは誰も出てくる気配がない。
僕はカウンターの前まで行って声を出そうとしたのだが
その奥から聞こえてくる声が気になって少し静かに耳を傾けてみた。
声は、女性のものだと思った。
女性の重い、呻き声だ。

「ゥゥゥン……ハァァァァゥゥゥン……」

カウンターの端に掛かるのれんの奥で、
僅かな光が漏れ、声はそこから聞こえてくるようだった。
奥はどうやら厨房になっているようで、
身を乗り出して中を覗くと少し開いた扉から、店主の後ろ姿が見える。
店主は何をするでもなく、腕を組んでいるようだったが、
その奥に、ドラム缶くらいの大きさのものが見える。
鍋だろうか。
扉の隙間から、呻き声と共に先程食したカレーの匂いが流れ出てきていて
今、カレーを煮込んでいるのだなということが分かる。
しかし、僕は何を想像しているのだろう。
頭の中に描いたドアの奥の世界。
妙な胸の高鳴りは、呻き声が大きくなればなるほどに、
匂いが強くなるほどに、激しく胸を打つのである。

僕はできる限り音を立てずに、カウンターの中へ忍び込んだ。
シンクの中には洗いかけの食器類が散乱し、
蛇口には小さな蜘蛛の巣が張っている。
汚いカウンターだなと思いながら薄汚れたのれんの奥へと目を移した。
のれんの奥には、先程女性が身に纏っていたシャツとスカート、
そして下着類が全て段ボール箱の上に放置されている。
女性が中で裸になっているということなのだろうか。

緊張でガチガチの身体を無理矢理前に進ませ、
震える手でのれんをかき分けて中に入る。
のれんの中では、女性の呻き声がはっきりと聞き取ることができ、
さらにはグツグツという鍋の煮える音までが聞こえる。
どろりとしていて重く、黒いカレーを煮込む音が、
女性の呻き声と同調して、いやらしい音楽のようでもあった。
重そうな鉄の扉から流れてくる、声と、音と、匂い。
僅かな隙間からは、店主の後ろ姿と、見たこともないくらい大きな鍋。
その隙間から見えるものはそれだけが限界で、
僕は好奇心に負けて鉄のドアをもう少しだけ開いて中を覗いた。

先に食べたカレーの、その何倍もの匂いが鼻孔を刺激する。
思わずえづきそうになるがその息を喉に押し戻し、
僕はドアに頭を付けて厨房を見渡した。
店主の向こうに見える鍋から、少しだけ黒いカレーが溢れだしていて、
その中でまた、黒い何かが蠢いている。
黒い何かは、大きな野菜のようでもあり、人の頭のようにも見えた。

グツグツと煮える鍋の中で、
黒い何かは少し沈み、そして少しだけ浮く。
その様は、まるで機械仕掛けの人形のようで
浮き沈みを繰り返しながら一定のリズムを刻み、
途切れることなく、呻き声に合わせて鍋の中を
いつまでも踊り続けていた。
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by gennons | 2005-01-31 14:41 | 妄想

改まって背広を着ている気分。いやそんな固くないんですが。

あー、えー、っと……
おほん。

あのですね。ここいらで、一度整理してみませんか?
あ、いや、何がってね、何がって聞かれても分からないんですがね。
あのー、反アイス同盟についてなんですがね、
ちょっぴり微妙な空気が流れてるじゃないですか、
流れてない?ならいいんですけど。
原因は僕やら誰それやらまあいろいろあると思うんですが、
今はそういうことじゃなくて、
上手く説明できないんですが皆さん結構引いてはる気がしてなりません。
気持ちは分からないでもないです。
逆の立場だったらこの空気、ぎすぎすしてるかも……
思い過ごしならいいけど……と思ってしまうでしょう。
例え当人がそう思っていなくても。

ブログって、普段友達とかと話するように、ブロガー同士で付き合うと、
結構微妙な空気が流れると思うのですよね。
例えそれが100%冗談だとわかる記事にせよ、
その言い回しによって少なからず傷つく方もいらっしゃると思います。
そのあたり、僕は今回のオフレポで皆さまに大変失礼致しました。

特にブラボーさんと、けみちょうさんには、大変申し訳ない、失礼の限りを尽くしたように思います。
冗談とかネタとかでも、人様を揶揄したりけなすような文章をブログで公開するのには
普段の約18倍くらいの気遣いが必要なのではないかと思っておる次第です。
特に僕は、普段の言葉遣いや人に接する時の態度が横柄で馴れ馴れしいので、
実際に顔を見て、話している分には問題ないのですが、
「ハッキリと残る文章」で、「誰でも見られるところに公開する」ものを書くには、
少なからず注意が足りなかったのではないかと反省しております。

オフレポでは、もれなく全員の参加者様に失礼極まりない冗談を書いてしまっているので
一段落落ち着き、改めて読み返したときに「コレ……大丈夫かいな……」
と不安になったのです。
面白いとか、そういう賛辞はやりやすいですが、
ここの文章に私は傷つきました。と言うのは結構勇気がいることだし、
冗談で書いていることがあからさまであればあるほど、その申告はしづらいと思います。

長い時間ブログを続けている方なら(ブログに限らずネット上でのやりとりっも含)
そんなこと言わずもがな理解している方が大半ですが、
僕は今回のオフで、少し線をはみ出してしまったような気になっています。
簡単に言うと、「調子に乗りすぎた」のです。

アイスデー様の文章が(ダービッツが)嫌いだという話題も、
その「情報」だけが広く流れてしまうと誤解を生む可能性は十分に存在します。
ファミレスで、ダービッツ(例を出しすぎですね。すみません)という作品について
議論をかわしていたのですが、その場の雰囲気や、話の流れを汲み取っていない人が
その「情報」だけを頭に入れるとえらいことになりますよね。
反アイス同盟にしたって、どこまで本気で思っていることで、
どこまでが冗談なのか判断し辛い状況になっていると感じます。
確かに馴れ合いだけでは面白くない部分もありますし、
時には刺激になるような言葉も必要だったりします。
しかし、そのような状況を、エキブロを昨日始めた方が見たらどう思うのでしょうね。
いや、これは結構心配しすぎなのかもしれませんが。
でも慎重になるのもブログだし、インターネットという新コンテンツのコミュニケーションは
まだまだ僕にとって未知な部分が多いのでそうならざるを得ないのも確かです。

オフ会やなんやで関わりが深くなれば、
それだけ注意しなきゃいけないところも出てくるのではないかと思います。

でも僕だけが勘違いしている可能性もあります。
その時は指摘してください。。。

何も整理できていない上に支離滅裂ですね。
上記のところで、今回のオフレポ等
僕の記事に対して少しでも嫌な思いをされた方がいらっしゃるならば、
本当に申し訳なく思います。
ごめんなさい。

結論から言うと……楽しくいこーぜ。ってことで。
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by gennons | 2005-01-28 21:06 | 雑記

富士山は鳴り響く

「近くで見ると富士山って大きいですね、ガイドさん」

「そんな当たり前のコメントを言われたお客様は初めてでございます」

「うわ!あなたはダー○ッツ田中さん」

「左様でございます。本日は富士山ツアーのガイドをつとめさせていただきます」

「もの凄く不安ですが」

「ご心配には及びませんこう見えても私、漢字検定二級を携帯しておりますから」

「全然関係ないですね。しかも携帯してるのですか」

「本日の登山は霧も深く、大変危険ですのでこの煙草大の旗を目印に付いてきてください」

「それじゃあ見えませんよ」

「おっとお客様、右に行かれると崖でございますよ」

「あぶねー!もっと早く教えてくださいよ」

「今のは冗談でございます。本当の崖は左側です」

「左に動きかけたじゃないですか。殺す気ですか」

「さて、そんなこんなでもう六合目です」

「早いですね。展開が」

「そうです。もう後にも先にも進めません」

「それって遭難してませんか?」

「失礼なお客様ですね。あなたどこ中ですか?」

「中学は関係ないでしょう。完全に喧嘩売ってますよね?」

「登山素人のお客様は、黙って私に付いてくれば良いのです」

「無性に腹が立つのですが」

「あ、大切なことを言い忘れていましたが、本日ここの山は爆発します」

「じゃあこれ、自殺行為じゃないですか」

「そうです。周りをもっと見てください。私たち以外に登山者がいないでしょう」

「そんな山に登らせないでくださいよ」

「これも宿命です。ここまで来たら受け止めましょう」

「あなたと心中なんて嫌ですから」

「こっちこそご勘弁いただきたい」

「それあなたが言うべきじゃないでしょう」

「そろそろ八合目あたりです」

「なんだかんだ言いながら登っているところが恐いですね」

「本日は富士山の火口を見届ける予定になっておりますので」

「あんなところ入れないでしょう」

「本日は特別に監視員等々、退席願いましたのでお客様のプライベート火口となっております」

「それ避難しているんですって!」

「それはもう、マグマの滴一滴まではっきりとご覧になれます」

「その前に死んでますから」

「そろそろお客様、頂上に近づいてきましたが、言い残すことはありますか?」

「死ぬみたいじゃないですか」

「火山が爆発したら死ぬでしょう。お客様、頭悪いなぁ」

「富士山が爆発したらここにいなくても死にますよ」

「そうですね」

「あ、爆発って嘘でしょう」

「ばれましたか。でもそれじゃあお題をまっとうできないのです」

「何の話をしているのですか?」

「そろそろお客様、火口が見えてまいります」

「本当に来てしまいましたね。突き落としたりしないでくださいよ」

「この火口、実は穴が空いておりません」

「それじゃあ火山じゃないでしょう」

「そううです。なのでもっと覗き込んでも大丈夫ですよ」

「それって落ちないってことですよね」

「ご名答です」




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これは敬愛する作品に贈る賛辞の証です。
なんちて。
でも難しかっったです。オリジナルにはほど遠いものになってしまいました。

従ってこの記事はTBしません。選考対象外です。
TB選考用の記事は明日中に書き上げますのでよろしくです。

ちなみに言うと、これをもって100ポストになりました。
改めて彼の凄さに圧倒されます
でも反アイス同盟は脱退しません。
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by gennons | 2005-01-28 03:41 | 雑記

びしょ濡れ

久しぶりの更新になります。
いやあ、何でしょう、文章の書き方を忘れてしまっています。
今までどうやって書いてたっけ?
ちゅうかそれ以前に書き方って何?
と意味不明な悩みの持ち主足草です。
ご無沙汰してます。




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前から気になっていたのだが、社内にびしょ濡れの女がいる。
髪の毛とか洋服とか靴とか鞄とか、全てがびしょ濡れなのである。
どのくらいびしょ濡れなのかというと、それはもう、とにかくびしょ濡れで、
晴れの日であろうが風の強い日であろうが常にぽたぽたと、水が滴っている。
水の滴るいい女、なんて言葉は彼女のためにあるのではないかと思いがちだが、
残念ながら彼女はそこまで美しい人ではなかった。
いや、決して不細工な訳ではないのだが。
どんなに時間が経とうとも、不思議とその「濡れ」は乾くことがなかった。
彼女とは席も遠いし、今まで数えるほどしか話したことはない。
びしょ濡れの女性に向かって「びしょ濡れですよ」なんて
言えるわけもなく僕はただ見て見ぬ振りをするしかなかった。
本人だってそのことに何の違和感もないかのように振る舞い、
周りもそれを指摘するような発言はしなかった
あの濡れ様は、僕にしか見えていないのだろうか。
そんなことを思った彼女の入社半年目、同僚の瀧川がタブーを口にした。

「佐藤さんって、どうしていつも濡れているんですか?」

社内の空気が固まった。
みんなパソコンから目を離さず仕事をしているが、
確実にその発言の返答に耳を傾けている。
びしょ濡れの女はファックスを送る予定の書類をはらりと落とし、

「……え?ど、どういうことですか?」

としどろもどろに答えた。

「そ……そ、そうだよ瀧川、女性に向かって濡れてるなんて失礼じゃないか。
セクハラだぞそれは。空気を読め……じゃなくて発言をもっと考えろ……よ?」

ドア近くの山中が妙などもりかたでフォローする。
全くフォローになっていないような気がしたが、
そんなことよりもこの後の展開が気になって、僕はもとよりみんな仕事の手を止めている。

「だって気になってたんだもん。そんなに濡れて寒くないんですか?」

だもんって何だよ。
とりあえず誰もが「空気読め瀧川!」と思っているに違いなかった。
案の定、彼女はその場でしゃがみ込み、顔を両手で覆って泣いている素振りを見せた。

「私……そんなに濡れてませんっ!」

「びしょ濡れだよ!」ともれなく全員が心の突っ込みをしたのだが、
彼女は顔を覆い隠したまま走って会社から出ていってしまった。
社内には気まずい空気と、彼女の座っていたしるしでもある水たまりが虚しく残っている。

「お、俺、彼女を止めに行くよ」

窓際の川村が沈黙を破ってオフィスから飛び出していった。

「あー、あいつあの女に気があったからな〜。俺とのことも知らずに……」

奥の壁際で菊本が意味深な発言を残し、またパソコンに向かう。
誰もが、それどういうことだよ。と言いたげな表情をしている。
僕はもう仕事のことなんて考えていられなかった。
平和な社内の空気が一瞬で崩壊した。
その嫌な空気に耐えかねた瀧川が突然立ち上がり、菊本に手招きをしている。
自分だけその詳細を聞こうなんて思っているに違いない。
菊本は立ち上がり、そしてそれを制するように山中も立ち上がって口火を切った

「っちゅうか、ヤッたの?」

「え!?うそん!?」

瀧川が大袈裟なジェスチュアで驚いて見せ、菊本の席に駆け寄った。
幸い(?)菊本の斜め後に席がある僕は、立ち上がらなくとも話の内容は聞けそうだ。
手に汗が滲む。これは緊張なのだろうか
好奇心からも汗は出てくるのか。

「うん。ヤッたよ。一回だけ」

「えーーー!?」

である。勿論全員がそう口にした。
さらっとそんなことを言ってしまえる彼の人格を疑ったが、
それよりも聞きたいことは山のようにある。
いや、とにかく、何故、びしょ濡れなのかということだ。

「で、何でびしょ濡れなの?」

山中が気持ちを代弁してくれる

「っていうか、いつヤッたの?」

瀧川が質問を重ねたが、重要なのは山中の質問だ。
菊本はしばらく正面を見据えて考え、

「いや、知らない」

何故!?何故に身体の関係まで持ったお前がそれを知らないの!?
僕はいつの間にかデスクから身を乗り出し、
三人の中に頭を突っ込んでいた。

「何で知らねーの?聞かなかったの?何で聞かないの?」

パニクッた瀧川が早口で責め立てたが、菊本は至って冷静である。

「いや、聞けないだろ、普通。本人からも何も言い出さないしさ」

「え?あの水が何なのかも知らずにお前は彼女とあーなったりこーなったり
あんなところをこんなふーにしたりしてそれで仕舞いには……」

「瀧川君、たーきーがーわーくん!ちょっと落ち着けよ」

山中が瀧川をなだめ、話を原点に戻す

「で、あれ、水?」

「あー、水じゃないと思うね」

菊本は思い出すように斜め上を見つめながら答えた。
それから上唇をペロっと舐めて

「あれ、ちょっとだけぬるぬるしてたしなぁ。……忘れたかも」

「ぬるぬる!?」

僕を含む三人が口を揃えた。
そして山中が何かを思いだしたかのように顔を上げる。

「ちょっと待って、あそこの水たまりを調べたらいいんじゃない?」

あ、そうか。
全員がファックス機の前に顔を向ける。
彼女が座り込んでいた場所の水たまりは、オフィスの蛍光灯の光を受けてキラキラと輝いていた。
瀧川が素早く水たまりの横に飛んで行き、
しゃがんでソレを凝視する。
山中もそこにしゃがみ込み、小指でソレを掬って何の躊躇いもなくぺろりと舐めた。
山中の表情に視線が集まる。

「……どう?」

瀧川が恐る恐る聞くと、山中は眉間に皺を寄せて少し考えてから

「何か……食べたことある……かも……?」

「何ソレ!?」

と言いながら瀧川もその水を舐める
みんなそれが床にあるものだということを忘れているのか、
さもなくばどうでもよくなっているのか。

「あ、……コレ……」

「でしょ?食べたことあるっしょ?」

二人が悩む。僕はその得体の知れない水に手を出す勇気が無くて
ただ見守るしかなかった。
菊本はただ黙ってその様子を見ているだけだ
しばらく悩み、うつむいていた瀧川がしかめっ面のままゆっくりと顔を上げた。

「コレ……いや、何となく、何となくだけど……いや、いいや」

「良くないよ!言えよ!」

僕は我を忘れて大声を出してしまった。
瀧川はもう一度その水をぺろりと舐めて

「何となく……だけどこれ、ふっ……風俗の味がする」

思わず僕は「は?」と聞き返してしまった。
彼女の全身を濡らしていた水っぽい何かが風俗?
食べたことあるとか味がするとかいう表現が当てはまらない素っ頓狂な答えに僕は落胆した
馬鹿かこいつは。そう思った矢先、山中が声を上げる

「あー!それそれ!これってすげー風俗の味がする!よくわかんないけど。」

「それってローションとの味じゃないの?」

僕は呆れてやる気なく聞いてみたが、どうもそうではないらしい。

「そういえばそんな感じだったかも」

菊本までもがそう言い出した。
こうなると僕も舐めてみるしかない。三対一じゃあ反論のしようがないからだ
小指に少量の「風俗水」を掬い、ゆっくりと口に運ぶ。
ここで躊躇っていてもしょうがないので一気に小指を口に入れて舐めた。

「……ふっ、風俗の味がする……」

思わずそう口に出してしまった。
それほど風俗臭い水だった。ヘルスとか、ピンサロとか、そういった種類の風俗だ。
少しだけ粘りがあり、口に入れると一瞬甘く、後味が生臭い。
すえた匂いを、無理矢理甘い匂いで覆い被せたような味。というか匂い。
相対的に言うと臭い。
まあ他人から吹き出た(?)水分が美味いとは思わなかったが、
何とも言えない微妙なこの味は、風俗としか表現のしようがないものだった。

「何だよ!風俗の味って何だよ!!自分で言っててわけわかんねえよ!」

山中が頭を抱えてわめき散らす。
それを横目に瀧川が真顔で静かに口を開いた

「佐藤さんって風俗で働いてるのかな」

全員の動きがぴたりと止まった。
それはそうかもしれないし、そういう思考の展開になるのは当然だ。
しかしそれだけで彼女を風俗嬢扱いしてしまうのは少し安易な気がするのも確かだ。
でも普段は何気ない普通のOL、しかしアフターファイブになると女は新宿へと向かい、
そこで夜の顔を見せる彼女。
僕らの貧困な発想はそんな彼女を憧れとして意識せざるを得なかった。
いや、それは彼女と付き合いたいとかそういうことじゃなくて、
風俗嬢であることを彼女はばらされたくない筈だ。
それをダシにするわけではないが、そんなこんなの一連があって彼女の悩み相談などを受け持ち、
そういう話の流れになったとしたら……
もしかしたら、何かおいしい話へと雪崩れこまんでもないのではないだろうか。
それにはこの四人が知っていては不都合である。
個人戦だからこそ、「仕方ないわね」的な流れに発展するのであって、
こんな大人数で詰め寄ったら彼女も引いてしまうに違いない。
ここは風俗嬢であることを完全否定しておいて、
あとでその可能性を個人活動で探って行くしかないな……

「違うだろ」

三人の声が揃った。菊本以外の三人だ。
三人同時に風俗嬢である可能性を否定したがっている。
顔を見ると、全員が全員を蹴落としたい表情をしていた。
間違いない。こいつら、僕と同じことを考えていやがる……
ここで抜きんでるには、彼女にそれとなく接近し、いち早く悩みを聞く環境を手に入れなければならない。
そうなるには……

「ぐぉ!」

思わず声を上げてしまった。
よく考えなくとも、その状況に最も近い男が先までここにいたじゃないか!
濡れている彼女を気づかって悩みを聞いてやれる今最も近くの男性……

川村だ。

川村に、僕らは四ゲームくらい先を行かれていたのである。
顔を上げると、山中と瀧川両方の顔に落胆の色が見えた。
ここでやましい気持ちを持った三人が撃沈したのである。
三人の目が合い、瀧川がくすくすと笑い出した。

「つか、あんまし可愛くないしな」

「そうそう。あれで可愛いくても、風俗臭い女はなぁ」

「ちゅうか全身びしょ濡れの女って何?変態?」

と最低な会話で和んでいたのだが、菊本だけが気まずい顔をして黙っていた。
まさかと思い、僕ら三人が振り返るとそこには、

川村が濡れ女と手を繋いで、ドアの前に佇んでいた。
沈黙。である

濡れ女が「わぁっ」と泣いて又、会社から出ていった。
川村も焦ってまた女を追いかけようと踵を返す。

「川村ぁ!!」

菊本が大声で川村を呼び止めた。
川村は恐る恐る振り返り、目に涙を溜めている。
菊本は真剣な表情で川村に向かって頷き

「濡れてるし、ええんちゃうか」

とだけ言った。
川村はぐっちょりと濡れた左手を凝視したまま固まった



誰も何も言わず、二分が過ぎようとしていたその時、
川村の表情から、明らかに情熱が消え失せ、
そして顔を上げて言った。

「濡れてるし、えっか」
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by gennons | 2005-01-17 09:26 | 妄想

エロ袋

最近記事を書こうと思っても途中で投げ出してます。
書く暇があったらゲームしてるからです。
僕にゲームを与えないでください。

なんだか悲しくなるくらい下品でシモネタの更新なので気が引けるのですが
書いちゃったから……ねぇ。
先に言っておきます。ごめんなさい。

新春!男女対抗TBボケ駅伝開幕!参戦記事
不倒城さんの「狩人の生き様 〜外伝 新たなる挑戦者〜」
にTBです


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絵柄からしていやらしさ満開の福袋から出てきたモノは、どれも最高の品だった。
高級ブルマー、スライム、下着、ナマ写真、伝説のエロビデオ、助平椅子、小西マナミの手等々……
薄給の僕にはとうてい手の届かない品々ばかりが続々とでてくるので僕は
袋に魔法がかかっているんじゃないかと思ってはしゃぎまわり、
正月三が日では使いこなせないなあなんて考えていたら一つだけ、
気になるモノが入っていた。
哺乳瓶くらいの大きさで半透明の筒。
マスタードソースを入れる容器のような形状をしているので最初
僕はローションだとばかり思っていたのだがうっすらと見えるその中身を見てそうではないことを悟る。
白く濁った容器の中で、黄色い何かがうごめいているのである。
気味が悪いのでとりあえず仕舞っておこうなんて思い
押入の中に放り込んでおいたことを今まですっかり忘れ去っていた

少し埃をかぶった容器の中ではまだ、黄色い何かがうようよと複数動いているらしい
高級グッズにも少し飽き始めていた一月の末日、僕は恐る恐るその蓋を開けた
容器から中の何かが飛び出てこないよう慎重に隙間をつくり、
中を覗くとどろどろした液体の中で、数匹の虫がごにょごにょと身をよじらせている。
あまりに小さい虫だったのでイマイチその種類は分からなかったのだが
ナメクジとも芋虫とも言えない形状をしている。
ごにょごにょとしたいやらしい動きから、高級エログッズの一員であることは間違いないと思った。
もしかしたらこの虫は、僕の常識を遙かに凌駕する自慰グッズなのかもしれない。
となると問題はその使い方だ。
食べる、塗る、匂う、擦る、舐める、入れる……
様々な選択肢に僕は迷ったが、これを口に入れるのには抵抗を感じる。
数日筒の中で生きていることを考えると、恐らくこの虫の動きにヒントがあるらしかった。
もしこの虫たちが僕の股間でうごめいたなら……
想像すると鳥肌が立った。
気持ちの悪さと期待とで、僕の股間はもうはちきれんばかりである。
僕は難しいトリックを解く刑事のように人差し指を眉間にかざし、
“塗る”だ。と決め台詞を吐いた
思い立ったら吉日、その場で容器を逆さにして、中の虫と液体を愚息に垂れ流す。
虫達は液体の流れに乗ってゆっくりと容器からこぼれ落ちてきて
僕のものを包み込んだ。
ヒンヤリした感触とドロドロした液体の重みが心地よく、僕は
目を閉じて股間に意識を集中させる。
少し甘い香りがしてから僕は身を仰け反らせた。
蜂蜜のような液の中で虫がクネクネと身をよじり、それが僕のそこを刺激する。
刺激は一カ所に留まることを知らず、各所に運ばれた虫たちは一匹たりとも怠けることがなかった。
僕はその快感にのたうちまわり、口の端からつらつらと涎を垂れ流しながら亀頭の先を見てみると
虫が尿道に侵入していくではないか。
そのむずがゆさといったら初めて自慰を覚えて射精したときのようなやるせなさで
僕は五分と持たぬうちに奇声を発しながら仰向けに倒れ込んで果てたのである。

あまりの快感に、ティッシュでキャッチする事も忘れてしまったため、
部屋の床は精液まみれになってしまった。

こんなもの、毎日使ったら気が狂ってしまう。
恐ろしいやら嬉しいやらで気が気ではない。
人類はなんてモノを開発してしまったのだ。
三分の二ほど残っている液体を見ながら僕は含み笑っていたのだがその時、
容器の底にシールが貼ってあることに気が付いた。
シールには、中位の文字で「エクスタシーローション」と書いてあり、
その下に小さな字で説明書きがしてあった。


○これはローションです。子供の手の届かない所に保存してください。
○冷暗所に保存し、直射日光は避けてください。品質が落ちる場合があります
○このローションは天然成分で製造しておりますので、口に入っても安全です。
○天然成分でできておりますのでお早めに御使用ください
○長期間放置しますとローションにウジがわくことがありますので、
その場合は使用せず、下記までご連……







■□■□■□■□■【新春!男女対抗TBボケ駅伝!】■□■□■□■□
【ルール】
 お題(共通お題)の記事にトラバしてボケて下さい。
 今回は駅伝なので男女対抗の団体戦です。
 たすきとして、前走者のネタの中から単語を1つチョイスして
 自分のネタに組み込んで下さい。
 そして、記事の最後にチョイスした単語を発表してください。

 開催は1/1共通お題発表、往路1/1〜4、復路1/5〜8の1週間です。
 往路復路で1人1TBずつ参加可能です。(同一路に1人2TBは不可)
 お題記事と前走者の記事の2つにTBしてください。
 お題記事は男女別なので注意して下さい。
 男性チームTB記事 http://earll73.exblog.jp/1498480
 女性チームTB記事 http://earll73.exblog.jp/1498483

 より多くのTBがついたチームが優勝です。
 優勝チームの中からMVPを発表します。
 MVPには「TBボケ2ndステージ第1回のお題出題権」が贈られます。

 参加条件は特にないのでどんどんトラバをしてボケまくって下さい。
 お祭りなので初参加歓迎です。

 ※誰でも参加出来るようにテンプレを記事の最後にコピペお願いします

 企画元 TBボケ駅伝実行委員会
     毎日が送りバント http://earll73.exblog.jp/
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キーワードは「ぬめぬめした感触」でした
トータルで見て、ベタだなあ。
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by gennons | 2005-01-06 05:59 | 妄想