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ドナルディ、高橋

下のシモキタバッシング記事、もっと怒られると思っていましたが
意外や意外、みなさん「短歌がステキー」とか「あしくささんステキー」とか
「私のルーズソックスもらって下さいー」とか「むしろソックスだけじゃなくてs(規制)」

……というか、下のコメント欄にルーズソックス履いている年齢の方はいませんでしたね。
さらに言うと今日びルーズソックス履いてる人なんていませんね。
はいはい、すみませんでしたね。

さて、話は童貞の世界観とホストの価値観くらい変わりますが、
最近僕のエロ汁の出が少なくなってきています。
僕のエロ汁はてのひらと指先からにじみ出るのですが、昨日あたりから
握ったマウスもさらっとしているほどに汁気がない。
これはどうしたことだ。まあいつも通りに書けばそのうちマウスやキーボードもべとべとになってくるだろう。
なんて考えながら書いた結果が↓です。エロくない。ごめんなさい。



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パーティションを立てるにはビームという支えを並べてそこにポールを立てる。
そうしてそのポールとポールの間(1Mくらいの間隔)に加工した白いベニヤ板を上から溝に沿ってはめ込んで下までストンと落とす。
繰り返し繰り返し並べられたビームの上にストン、ストンと板を落としていき、徐々に大きな長い壁がこの広い空間を仕切り始めるのだ。

「ペンチとって」

僕よりも二年先輩の高橋君が脚立の上から言った。
僕は彼の顔が汗で滲んでいないかどうか心配だったのだが、それを確認する勇気がなかった。
幕張の会場はまだ7月だというのに熱気で溢れている。
僕は額の汗をTシャツの袖で拭うと、高橋君に柔らかいタオルとペンチを手渡した。
高橋君は脚立の上で上部のビームをボルトで固定しながら、いつも彼女ののろけ話をする。
僕はそれを聞きながら次々に運ばれてくる大きな板をはめ込んでいく。
単調な作業をしながら聞く彼ののろけ話はバラードのBGMを聞くようで、別段不快なわけでもなかった。
ただ、僕が気になっているのは高橋君の彼女の話ではなく、彼自身についてだった。

僕の所属する会社はイベント設営の派遣業でみんな同じトレーナーかTシャツを着ているのだが、高橋君だけが違うユニフォームだった。
黄色いオーバーオールに、赤と白の土派手なタイツ。
髪と鼻と唇は真っ赤で、顔は白粉を塗っているのだろう。真っ白だ。
一見するとサーカスのピエロのようだが彼は自分のスタイルのことを「ドナルディ」と呼ぶ。
僕はその意味がよく分からず、何度も聞き直したことがあるが、高橋君はハンバーガーがどうのとか、
マックがどうのとかいう話しをするだけでどうも要領を得なかった。
ただ彼は、素顔を見られてはいけないのだということがわかった。

「子どもらの夢があるんだよ」

顔を明かせない彼の理由はこうだった。
高橋君の顔に何故子供たちが夢を見るのかなんて僕には分からなかったが、
この顔が高橋君だということにも慣れてしまっている、というかこの顔しか知らないので
素顔を見たいとは思わない。
むしろ見てはいけないものだという意識の方がずっと強かった。

蒸し暑い館内、脚立の上からはポタポタと高橋君の白く濁った汗が垂れ落ちる。
その度に彼は柔らかい布で汗を拭き、ポケットからおしろいを出して顔に塗る。
汗の流れ落ちた肌の隙間から、高橋君の肌色を時折垣間見るが、僕は見なかったことにしている。
昼休み、僕は高橋君とハンバーガーを頬張りながら、彼の外した黄色い手袋が油で黒くならないように
そっとおしぼりで拭いた。

「ありがとう」を言う高橋君の笑顔が眩しい。
子供たちはおしろいの奥に輝く彼の目に、夢を持つのではないか。

「どうせ俺は会社のピエロなんだから」

彼はそう言ってハンバーガーの包みをクシャクシャと丸めながら溜息をついたが
おしろいで隠された彼の表情はずっと笑ったままだった。
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by gennons | 2005-07-26 20:14 | 妄想

シモキタなんてラララー

鰹さんのところで見ました。下北沢11648 ベッドサイドドラマ 篠田算さんにTBです。



またきみはその店の話ばかりする 下北沢は変わってしまう (足草)

きみがみた景色を僕は知らぬまま 下北沢は変わってしまう (足草)



下北沢が好きというわけではないです。むしろちょっと苦手というかなんというか、嫌いです。えー。
好きとか嫌いとか言えるほど行ったことがないのですが。
僕の頭の中では若いのかおっさんなのかよく分からない人たちが徘徊している街というイメージが強いかなあ。あ、あとバンドとか?
食わず嫌いですね。そうですね。
あー、えと、音楽やってる人が羨ましいとか妬ましいとかいろいろな感情があるので、
そういう人たちのカオスが混沌としている街に苦手意識を感じているのだと思います。
下北沢的なものがなくなってしまうということがどういうことなのか僕は知らないです。

大切な人の思い出があり、嫌いな人のいる場所でもある下北沢。
「下北沢的」という感覚がなくなってしまったら、嫌うことすらできないではないですか。なんて。

しーん









・・・・・・・・・・テンプレ・・・・・・・・・・かなっ?

良かったら、あなたのブログでも

・下北沢は変わってしまうを付け句として前半の5・7・5を考えてください。
・記事のどこかに http://www.stsk.net/ へのリンクをはってください。
・出来れば、下北沢に対する思いを綴ってください。


・・・・・・・・・・テンプレ・・・・・・・・・・かなっ?
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by gennons | 2005-07-19 19:42 | トラバ

開封

休日の過ごし方を考えていたら、夕方になってしまった。
こんな事で一日潰れるのなら、もう少し睡眠をとっておくべきだったのではないか。
しかし今更後悔しても何も始まらないし何も産まれない。
後悔という無意味な時間とともに夜を待つことなど、もっとも馬鹿らしいことだと思う。
仕方なく俺は食料や日用品の買い出しに外へ出た。
初夏の夕暮れと生暖かい風が奇妙な体感温度を作り、俺は空を見上げながらスーパーまでの道のりをふらふらと歩く。


中略


鯖の缶詰に手を伸ばしたところで俺の手が停まる。
缶詰の配列が気になったのか、どういう原因で手が停まったのかはまだわからない。
順を追って缶詰の並びを注意深く端のほうから確認してゆく。

鯖、焼き鳥、蛤、コンビーフ、彼女、コーン、ホワイトアスパ……

彼女?

彼女の缶詰を見つめながら、世の中も便利になったものだと独り頷いてやはりそれも籠の中に放り込み、
そのあとビールとトマトと袋ラーメンと洗剤を購入し、レシートをポケットに突っ込んでスーパーを出る。
ぼんやり歩きながら、袋から彼女という缶詰を出してまたぼんやりとそれを眺めつつ夕暮れの町を歩いた。
アパートの廊下で鍵を出すのに手こずっていると横山さんがどこかへ出掛けるのか、ドアから下半身を覗かせて部屋の電気を消している。
横山さんは油っこい顔で俺に気が付いた素振りを見せ、こんにちはと言った。
そして俺の右手に彼女の缶詰を確認すると頬を緩ませながら
「ほう。柴田さんもとうとう彼女ができましたか。うらやましいですなぁ」
なんて言うもんだから俺は顔が熱くなって「いや友だちに頼まれまして」と嘘。
「まあどっちにしろ、彼女は大切に。では」と俺に少し会釈して駐輪所へ向う。

鍋に水を入れ、コンロを捻る。
ラーメンでも喰おうかと思ったのだが、少し考えてコンロの火を止めた。
先に彼女を開封し、作ってもらえば良いのだと気が付いたのでからだ。


注意(赤字で大きく書かれている)
・缶詰を空ける際には缶切りで刃の入る位置をコンコンと二回、軽く叩いてから刃を入れて下さい。
・彼女は、食用ではありません。
・彼女によって、プライベートな感情の違いがありますが、品質には特に問題ありません。
・彼女の嫌がる行為、傷つける行為等は法律で禁止されています。
・彼女によってプライベートに触れられるのを嫌がることがあります。
・彼女の違法投棄はやめましょう。


空ける前に缶詰を叩くのは、誤って中の彼女を傷つけないためだろう。
焼き鳥の缶詰とほぼ変わらない大きさの缶詰に、これからの俺の彼女が入っているところを想像すると、
どうにも興奮がおさまらなかった。
タイプじゃないのが出てきたらどうするのだろう。
しかしそのときはそのときだ。何らかの方法があるのだろう。

台所から缶切りを持ってきて、缶詰の端っこをコンコン、と小さく叩く。
缶詰に耳を近づけてみたが、イマイチ反応がわからない。
不安だったのでもう一度コンコンと缶の端を叩いてから静かに刃を入れる。
きりきりと缶切りを進めて半分くらいまで缶が切れたあたりで彼女の脚が見えてきた。
ゆっくりと缶切りを進めると、彼女の脚は缶切りの刃を少し避けるように身体をよじらせて
半分ほど開いた缶の隙間からひょっこりと顔を覗かせた。

「切れ目で怪我をしたくないから、全部開けてね」

意外にも彼女の声は低かった。
タバコか酒で潰れたようなしゃがれ声。
嫌いではない。ただそのせいで早速彼女の過去が気になりつつある。
彼女が、美しかったことも関係しているのかもしれない。
ゆっくりと、慎重に彼女を傷つけないように缶切りを進める。
缶の蓋が全て開いたとき、俺は目を疑った。

中には手のひらにすっぽりと収まってしまうくらい小さな裸の彼女。
そしてもう一人、同じくらいの大きさの、男。

俺はもう一度缶詰の注意書きを読んでみたが、
男が一緒に入っているなんて一言も書いていない。
仕方なく俺は彼女をややきつい目で睨んで、これ、誰?と聞いた。
彼女は小さく溜息をついて(身体も小さいので溜息も小さい)やれやれといった調子で顔を上げて言った。

「過去よ」





つ……続くのか……!?
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by gennons | 2005-07-12 04:11 | 妄想